キリンシティはドイツのビヤパブ「ケーニッヒシティ」をモデルとして1983年に創業し、現在は首都圏をメインに32店舗を展開。ドイツの伝統技「3回注ぎ」で提供する生ビール=通称「ご馳走ビール」をはじめ、季節感や素材の美味しさを堪能する手作りの料理等、こだわりの品々を味わえるビアレストランです。
2021年春にグループのメインブランド「キリン一番搾り」がリニューアルすると、キリンシティではその美味しさを最も引き出せる提供方法を探究し、オリジナルグラスを用いた「2回注ぎ」の方法でビールを提供するという新境地にも踏み出しました。同夏にはセッサに依頼いただき、ホームページも一新。新しい挑戦を続ける同社のマーケティング部・伊勢直子さん、南部香央里さんにお話をうかがいました。
長年使い続けたホームページの一新。会社の顔となるイメージを提案
リニューアル以前の同社のホームページは、枠組みを構築してから10年以上経過しており、その枠組みに少しずつページやコンテンツを追加しながら、いわば「つぎはぎ」状態で使い続けてきたものでした。
「特に気になっていたのは、パッと見た時にどうしても古さを感じることと、コーポレートサイト寄りの作りでお店の雰囲気が伝わりづらいこと。お客様がホームページを一目見て、『キリンシティってこんなお店なんだ。行ってみたいな!』と思えるようなサイトに変えたいと常々考えていました」(伊勢さん)
長く使い続けてきたサイトをゼロから作り直した今回のリニューアル。デザイン的にも従来のサイトとはまったく異なり、トップページを一枚絵で見せるという経験したことのない見せ方にチャレンジしました。
「昨今は何か情報を得る際に、ネットでの情報がより重要視されている感覚がありました。となると最初に目にするトップページはかなり重要で、そこがイマイチでは詳細まで見てもらえません。そこでトップページの見せ方を大切にしたいとセッサさんに相談しました」(伊勢さん)
「キリンシティをお客様の“サードプレイス”にしていただきたい。そんな私たちの想いを届けるために、お店のぬくもりやアットホーム感をどう表現すればよいのか? 相談する中でセッサさんが強く訴えてくださったのが、「お店の雰囲気・ビール・料理」を一度に、三位一体で見せるのが大切だということでした。そこで、3つのことを一枚で伝えられる、サイトの掴みとなるビジュアルを撮影することになったのです」(南部さん)
「撮影前にラフをいただき、どのような写真になるのかある程度イメージをしていましたが、実際に完成した写真を見せてもらった時は改めてセッサさんの提案に納得しましたね。『うん、これがお客様が感じてくださっているお店の雰囲気だね』と。キリンシティらしさがとてもよく表現されている一枚です」(伊勢さん)
「撮影後、トップページのヘッダー部分、つまりホームページの最も“顔”になる部分に、画像だけでなくコピーを入れては、との提案も有りました。そこで、店舗でお客様をお迎えするときに用いている『ようこそ』のコピーを入れていただき、キービジュアルが完成しました。」(伊勢さん)
外部の視点ならではのコピーライティング
今回、ホームページのリニューアルをどの会社に依頼するのか決める際、決定打となったのが過去にセッサに依頼した仕事だったと伊勢さんは振り返ります。
「以前ツール作成を依頼した際の、コピーの言葉選びの秀逸さが印象深く残っていました。社内でコピーを考えるとなかなか冒険できず、ついベタな表現に傾きがちです。ところがセッサさんが考えてくださる提案は『こう来たか…!』と斬新さを感じるアイデアばかり。私たちの凝り固まった考えにスパイスを与えてもらったようで驚きました」(伊勢さん)
飲食に対する熱い「気持ち」を共有できているからこその信頼関係
現在、キリンシティではランチメニューの大幅なリニューアルに取り組んでおり、同件においてもツール全般の作成をセッサにお任せいただいています。様々な案件で信頼を寄せてくださる背景にはどのような想いや期待があるのでしょうか。
「セッサさんは本当に根気強く話を聞いてくださり、私たちが伝えたいことや課題に感じていることを的確に理解して引き出してくださいます。飲食関連を多く手がけてこられた経験値に基づく部分もあると思いますが、それ以上に飲食への愛情が根底にあると感じています。そういった想いや熱い気持ちを互いに理解し合い、共有できるかどうか。この点は私たちが誰かと仕事を共にするうえで重要視している部分です」(伊勢さん)
「飲食業界のことをよく知っていて、私たちサービス提供側のことを深く理解してくださる一方で、社外の視点というある意味“お客様の視点”も持ち合わせている。両方の視点で様々にアドバイスをくださるのはありがたいですし、非常に心強いです。」(南部さん)
「ホームページのリニューアル時も、実際に店舗へ足を運び、店舗のオペレーションもしっかり汲んでくださいました。現場にまで思いが至らない会社さんも多い中で、セッサさんは細部まで意識して気を配ってくださるなと感心しています。」(南部さん)
どのような案件に際しても、制作を進めていく過程では双方にきめ細かな熱のこもったやり取りが行われ、その積み重ねも信頼関係のベースになっているのだとか。
「提案時、狙いとコンセプトの異なる数パターンを用意してくださることが多いので、全てをきちんと受け取り、採用に至らなかった案に対しても丁寧にフィードバックするよう心がけています。するとセッサさんもフィードバックの内容をまた次の仕事で活かして返してくださる。このやり取りは関係性を築くうえでとても大切だと思っています」(伊勢さん)
積み重ねてきたものを磨き、挑戦し続けるキリンシティの伴走者として
2023年には創業40周年という節目を迎えるキリンシティ。2020年に改めて制定されたブランドパーパスは以下
「私たちは ブランドの伝道師として、丁寧に積み重ねてきたおいしさを通して、こころも豊かになれるBeer Restaurantであり続けます」
この表明にあるように「丁寧に積み重ねてきたもの」を磨きながら、社会の動向に合わせて新しいチャレンジにも尽力したいとお二人は話します。
「コロナ禍で苦境に立ち、閉店せざるを得なかった飲食店も多くあります。そんな状況の中、久しぶりにキリンシティを訪れてくださり、『またここに来られてよかった』とおっしゃってくださるお客様の声を耳にすると、店がずっとあり続けることを大切にしていかなければと改めて感じます。ブランドパーパスを起点に私たちに何ができるのか、セッサさんの力も借りながら、今後も新しい取り組みを考えていきたいです」(伊勢さん)
「目下の取り組みとしては、SNSの活用にもっと力を入れていこうと動き始めています。デジタルのコミュニケーションを増やしていくためにどんな点を強化していけばよいのか、さっそくセッサさんにご相談を始めているところです」(南部さん)
お客様のサードプレイスを丁寧に営み、より素晴らしい場所へと進化させるために挑戦を続けるキリンシティ。その挑戦の伴走者として、今後も同社にとってスパイスとなる様々な提案をしていきたいとセッサは考えています。
※本インタビューは2022年4月に実施したものです。
<会社概要>
キリンシティ株式会社
創業:1983年
事業内容:ビアレストラン経営とチェーン展開